農業分野の競争力2011年11月15日 09時26分10秒

 TPPへの参加の可否に関連して、特に農業関連の方々の反対が強いようである。理由は農業分野で自由化されたら、安い外国の農産物が入ってきて、農家は壊滅的な打撃を受けると言うものである。

 事実、既に小麦や大豆やトウモロコシは大部分が輸入に頼っており、最後の砦の米についての攻防が課題と言うことであろうと思う。しかし、考えてみると、過去にもこのような国際競争の場に立たされて来たとき、常に国にその対策で泣き付いて、補助金だの補償金だのをふんだくってきていて、自分たちで競争力をつけようとする努力が足りなかったのではと考える。

 資本主義社会での自由競争の経済の中では、ある意味弱肉強食であり、競争に勝ち残ったものしか生き残れないのがその原理である。約20年前にソ連を中心とした東側諸国があいついて瓦解したのは、共産主義と言ういわば競争のない社会の中で物事を改善しようと言う進歩がなく、世界的な経済競争の中で取り残されてしまったことであると思っている。

 日本の農業も決して弱い所ばかりではないと思う。外国の大規模農業が話題に上るが、単位面積当たりの収量からしたら、、日本の方が高いと思うし、第一品質の良さや、美味しさでは決して引けを取らないと思う。従って、農業関係者もここ一番頑張って、世界に通用する農業とは何かを真剣に開拓すべきだと思う。そうでなければ、TPP名のなくても早晩ソ連に二の足を踏むことになると考える。政治的にばかり動いて、政府からお金をせしめることばかりを考えていては永久に解はないと思う。


コメント

_ ]無荒 ― 2011年11月15日 10時34分04秒

問題といっている米ですら国際競争力があります。現に輸出しているのです。
少数の国際競争力のある農民を無視した「負け犬根性」こそ日本農業の最大の敵ではないでしょうか。

_ KAJI ― 2011年11月15日 11時25分00秒

 無荒(何と読むのでしょうか)さん、お立ち寄りありがとうございます。おっしゃる通りと思います。一部外国の富裕層に対してはおいしい日本のコメが輸出されていることは素晴らしいことと思っています。

 しかし、だからと言って日本のすべての農業者が量的な意味で追従できることではありません。寧ろ、課題は関税撤廃された状況で、安いコメが(うまさには問題があるかも知れませんが)輸入されてきますと、貧困層が増えてきています我国の人々の中には、これを買うことで生活費が大幅に楽になることから、その普及が進むことは考えなければなりません。

 その中で、国産のコメがコストもさることながら、その品質でどのように競争し、自分たちの市場を確保していくのか、十分検討していかなければならないのではと思考します。

_ Kenrob ― 2011年11月15日 15時11分00秒

補助金だのをふんだくってきていて、自分たちで競争力をつけようとする努力が足りなかった、とのご指摘が妥当だとしても、日本の農場が壊滅的打撃を受けるとすれば失業者を増大させ、食料自給率を低下させ、結果として国の在りようが問われることになるでしょう。
農業従事者の努力不足を問うなら、将来を見据えてこなかった国の農業政策こそ避難されるべきではないでしょうか。
端が見えないほど広大な農地に小型飛行機を使って種を撒き、家かと思えるほどの巨大なコンバインで収穫する米国の農場規模に対してはコスト的に日本に勝ち目はありません。

_ KAJI ― 2011年11月15日 17時08分19秒

 Kenrobさん、ご意見ありがとうございました。

 私たち電子機器の開発製造者は別に国の政策がどうであれ、世界の同業者と競争して勝ち抜いてきました。Kenrobさんが「将来を見据えた国の方針が悪い」とおっしゃってます背景はやはり国におんぶにだっこの考え方ではないでしょうか。

 農業従事者でも世界の競争に敢然と戦おうとしている人もいます。変に利権にまみれた族議員や業界の人たちがその利権を手放さない限り、改善されないのではないでしょうか。

 私は今となってはコストで競争できるとは思いません。品質(おいしさ)で勝負してはどうでしょうか。失業者や派遣社員など低賃金で苦しんでいる沢山の人たちにとっては、外国から入る安い食料がどれだけ役に立つか分かりません。

_ 甚六 ― 2011年11月20日 23時41分13秒

今日の国会での行政刷新会議では、農業の在り方について長時間の激論が交わされてました。
今後の方向づけとしては、農山村・農民の存立を旨とする「社会環境政策」と、生産性の向上を図る「産業政策」の2面性を分離した基本方針が必須のようです。
独立国家として不可欠の食の自給と安全保障を担保する上で農業は他の工業品の製造業とは同列には論ずる性格のものではありません。
議論で注目を浴びた問題点としては、日本における農産品の販売価格に占める生産者の手取り歩合の低さがあります。
諸外国並みに少なくとも70%は欲しいところが、多くは30~50%では、農家側よりも消費者にとってのハンディーがあり過ぎですね。
地方では進んでいる直売システムの普及が大都市でも益々要請される由縁でしょう。
何れにしても、食糧が逼迫した際を見越した国策としてのボーダーラインを生・消共通の認識として確立することが重要のようです。
以上は、テーマから越脱したコメのようで恐縮です。

_ KAJI ― 2011年11月21日 10時34分52秒

 甚六さん、このテーマでは必ずお出でいただけると思っていましたので、うれしい限りです。

 <食の自給と安全保障>
 自給率40%と言うのは官僚の策略で、これはカロリーベースで算出したと言ってますが、そんな計算をする国はどこにもありません。普通は金額ベースでハジクと思います。それで行けば60%を超えているのではなでしょうか。

食の安全保障というのは、世界的な食糧危機が来れば、輸入できないのではないかという意味でしょうか。その前に値段が高騰するでしょうが、売りたい国がある以上買えないと言うことはないと思います。

 食の安全保障を言うなら、エネルギーは自給率4%と言われています。石油はその価格が何倍にもなりましたが、これの確保の方が将来的には難しいのではなでしょうか。(だから、原発を進め、核燃料サイクルを確立しようとしたのでしょうが・・・)

 <生産者の手取り歩合>
 要するに流通業者による搾取であるわけですから、これをできるだけ排除する中で、生産者の取り分を増やしていくしかないように思います。そのことは小売価格も下がることになりますので消費者にとってもありがたいことです。

 その時、流通業に携わっている人は失業するでしょうから、どうすればいいんぽでしょうね。

 輸出できる工業製品がなければ今日の日本の繁栄はないわけですし、どちらが主体と言うことではないように思いますが。

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