TPPへの参加2011年10月30日 21時43分27秒

 現在、政治家の間でも、また一般国民の間でも、アメリカから強く参加を要請されているTPPへの参加の可否について議論が盛んである。と言うよりも、機械工業関連の人たちは参加すべきと言い、特に農業関係の人やその団体がこぞってTPPへの参加に反対している。

 世界市場で競争力を確保するために工業製品についてはTPPに入って関税がなくなることは大いに歓迎であるが、農業関係の業種ではその製品価格が外国に比べて著しく高いために、競争力がなく、TPPに入って関税の障壁がなくなったら、事業として成り立たなくなると主張している。例えば米について言うと、現在700%を超える関税がかかっているから国内価格でもなんとか競争できているが、これがなくなったら、10Kg20,000円のコメは3,000円程度になり、競争できないと言うのである。

 しかし、我々一般消費者からすればそんな安いコメが買えるなら、こんなうれしいことはない。大いに結構だと思うが如何だろうか。

 今まで、戦後の急激な技術革新の中で、淘汰されてきた製品は枚挙にいとまがない。例えば、数年前まではブラウン管を使ったテレビしかなかったが、今や電気店に行ってもブラウン管を使ったテレビはとんとお目に掛かれない。ほとんど液晶テレビになってしまっている。では、当時ブラウン管を作っていたメーカーは今どうしているのだろうか。勿論、業種変換をして別の製品を作っているのである。

 農業について言うと、今まで困れば政府に泣き付いて、補助金だの何なのとせがむばかりで、自分たちで改善し、変革していく努力を怠った結果が今日の苦境につながっているのではないだろうか。

 結論的に言えば、工業製品の生産販売が主流になっているわが国ではこの期に及んで、TPPに参加しないという選択肢はあり得ないと考える。日本そのものを否定するようなものだと思うからである。それによって農業が苦しむのなら、苦しめばいいし、自ずから改革の道を探し出せるのではないだろうか。

 日本でいくら議論していても、結局はアメリカさんの言いなりになるのではないかと、むしろその方を案じている。


コメント

_ 甚六 ― 2011年10月31日 21時47分58秒

アメリカこそが自立不能に陥ってるせいでしょう。
何事も要望を強いるということはそういう由縁からです。
日本農業の改善にも限度がありまして、今の大規模農家も大方は借金と補助金で生き延びてるだけです。
今後は尚更にその傾向が強まりこそすれ、明るい展望が観える材料は皆無で、不景気が続くに連れて結局は自給が主体の兼業農家が農地に齧り付く傾向が一層強まることでしょう。
一番困るのは誰かはおいおい察しがつくでしょう。
米国の農家も食糧戦略上、補助金で成り立ってるのをメディアも国も報じません。
日本の二次産業は、内需に見切りをつけて外へ色気を成しても既に買う能力を失せてる国は当てになりませんよ。特にアメリカはね。
敵の一番の狙いは日本農業の壊滅でしょう。
食糧こそは人類支配の奥の手な訳で、それしか術の無くなった金融マフィアの脅しに乗っていては日本の復興はおジャンです。
因みに経産省官僚(昨年から京大出向の准教授)のお話をご紹介いたします。
中野剛志氏、実に面白いサムライです。
http://www.youtube.com/watch?v=Z1UOqFfOnBo&feature=related

_ KAJI ― 2011年11月01日 11時59分27秒

 甚六さん、私も昨夜のテレビ番組で中野さんのお話を聞きました。その通りと思います。中国が入らないTPPでは売り込み先がないのかも知れません。その意味でこんかいのTPPへの参加は時期尚早だと言ういうことかも知れません。

 私は電子機械工業会で在職中は絶え間ない世界企業との競争の中で、常に競争をし勝ち進んできました。ですから、世の中も趨勢として自由経済を進めることが人類の進歩だと感じています。

 農業も既に小麦とか大豆とかトウモロコシは完全に輸入に頼ってしまっています。コメが最後の砦でしょうが、これとて減反政策にくみしないで、独自に輸出市場を開拓している人もいます。農家もほんとに世界と競争するために何をすべきか、もっと真剣に取り組むべきだと思います。その上でダメなものは淘汰されればいいのではないでしょうか。

 ですがこのブログで私か書きたかったことは、赤字で書きましたように、色々な意見はあるでしょうが、結局アメリカさんの言いなりに決まるのではないでしょうかと言うことです。
それも歴史上の運命なのかもしれません。

_ 甚六 ― 2011年11月01日 19時10分24秒

赤字の部分ですね、よく観えませんでしたが当にその点がポイントでしょう。
電子工業関連のお仕事をされていれば当然の感覚だとは思います。
今日の野田総理の国会答弁を野良仕事しながら聞いてましたが、まったく質問者に対する誠意がありません。
官僚の書いた原稿の丸読みを繰り返してましたが、信念のカケラ持ち併せてないように感じました。
共産党の志位、新党日本の田中の演説は迫力満点でしたですがね。
この度のTPPは、仰る通りオバマに花を持たせることになるに違いありません。でも、その後の政局が日本の運命を左右する事態になりそうです。
ところで、10キロで¥20,000のお米とか・・、何を食べてるのか想像もできませんが、拙生は地元で60キロ(1俵)で銘柄米(玄米)を¥13,8000でナニしてますよ。この値段で農家は直売して特に損はしておりません。10キロ¥2,300ですよ、これだけで約1/9・・変ですね?。
問題があるとすれば、我が国の流通システムにメスを入れるべきと、かねがね思っては居りますがね。
まだまだ国内には改善すべき非効率が数多です。

_ KAJI ― 2011年11月01日 21時01分52秒

 甚六さん、お米の値段は一桁間違えていました。こんな感覚だから農家のことに気が行き届かないのでしょうね。済みませんでした。

 確かに日本の場合は流通システムに問題があるようですね。農協を含めて問屋制度が農家から安く買って、消費者に高く売るのでしょうね。農作物もお魚も自信のある方々はどんどん消費者と直結して販売されていますね。そのような方向に進んでいくのだと思います。

 ともかく、アメリカの一部の資本家だけが豊かになって、世界中が飢えているように感じます。9.11を自作自演できる国の体質からは世界平和への寄与は全く期待できないばかりでなく、自分たちの利益のために他の国はますます疲弊していくのでしょうね。

 国会の代表質問と言うのはなんでしょうね。(私は馬鹿らしくてほとんど聞いていませんが)質問者はあらかじめ質問事項を提出して、官僚がその答えを書いて、棒読みしているだけで、それに対する反論も討論もなしに、お仕舞ですよね。これこそ最大の時間とお金の無駄ではないでしょうか。

 早く次の選挙をやって、新しい政権を選びたいですね。誰がこの危機を打開してくれるか分かりませんが、今の民主党の政権だと、ある意味自民党時代より悪くなっているのではないでしょうか。

_ 朗子 ― 2011年11月10日 14時51分00秒

皆様の仰るように中国の参加しないTPPに民主党員大多数を押し切って、野田さんが出発されたと言う事は、「賛成」することに成るのでしょうね。勿論自民党も反対ですから、どうなるのかしら?又総理が変わるのは、何だか見っとも無いですね。総選挙しか、収まりようが無いみたいですね。

_ KAJI ― 2011年11月10日 16時37分37秒

 朗子さん、逆ではないだろうかと考えます。アメリカの意向に沿った形でTPPに参加表明することで、総理は変わることがなくなったということだと思います。つまりは野田さんの勝利と言うことになります。

 民主党で反対している人たちも自民党も「野田さんがアメリカの意向に沿って賛成すること」は百も承知で、ただ単に選挙民向けに「反対したと」声高に言いたいだけではなかろうかと推察します。

 私はTPPと言うよりも、官僚支配の政治から脱却するために、総選挙でもやって政権の体制を変えたち思いますが、そんな勢力が結集できますでしょうか。心配です。

_ 朗子 ― 2011年11月11日 16時14分41秒

梶さまのご意見並びに皆様のご意見はとても参考になります。
テレビの出てくる人の意見も、色々有って特に政治家の意見は
自分の票狙いが多いので、テンデンバラバラ何を信じて良いか解りませんので、此方で梶さんのおっしゃる事の方が政治オンチの私には参考に成ります。定見を持たずお恥しい次第ですが
時々質問させてください。 どうなりますでしょうね???
それにしても地球上、イヤになる程災難続きで、地球の滅びの時が来ているのかしら?と恐怖を感じます。話は変わりますが
官僚支配の政治から脱却することなど出来るのでしょうか??

_ KAJI ― 2011年11月13日 09時16分05秒

 朗子さん、毎度このブログをお読みいただきましてありがとうございます。ですが「野次馬評論」と言う題名通り、私の勝手な見解を書いていますので、ほんとかどうかはよく分かりません。寧ろ、私自身が反体制的な思考ですので、成り行きに逆らうことが多いです。ご注意ください。

 官僚支配からの脱却につきましては、先ほど経産省を首になりました古賀茂明と言う人が書いた「官僚の責任」(PHP新書)をご参照いただければと思います。官僚がどのように腐敗していっているか、その官僚組織をどのように改革していったらいいかについての筋書きが書かれています。

 ですが、実際はそんな公式的なことでは強大な官僚組織は壊れないと思います。やはり強力な政治力でしょうね。

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