招かれざる大臣2011年02月21日 17時11分40秒

 この間まで厚労大臣をやられていた長妻さんが書かれた「招かれざる大臣」を読んだ。彼が四面楚歌の厚労省の中で悪戦苦闘していた話は漏れ聞いてはいたが、この本を読んで改めて、官僚をコントロールする難しさを認識させられた。

 民主党はもともと、官僚政治から政治家主導の政治に変えるのだと言った言葉を信じて、我々国民は民主党の政権を選択したつもりだった。一年半がたって、菅政権は急速に官僚による政治に移行し始めている。

 その点で、この長妻さんだけ(?)は民主党が当初に描いた政治主導の政策を官僚たちのものすごい抵抗を乗り越えて実現しようと努力してきていた。この本のタイトルにも現れているように長妻さんの控えめな表現の文章ではあるが、だからこそ、熾烈な官僚との葛藤が浮き彫りになっているように思う。

 その彼がどのような理由で大臣の椅子を降りなければならなくなったのかについては表立っては語られていないが、この本を読むと、官僚サイドから大臣交代の要請を受けて、この人事がなされたのではと勘繰りたくなる。民主党の新しい路線に沿わなかったのだろうか。

 民主党政権は一体どこに行こうとしているのか。マニフェストでぶち上げた政策はどんどん縮小して、よく分からないが大増税路線を選び、官僚主導の政治に戻ってきており、これだと自民党の政治と何ら変わらない。