トリウム原子力発電2008年11月28日 12時19分33秒

横浜では街中でも紅葉が進んできている。
 今日の新聞に京都大学の亀井(助教)が書かれていたが、トリウム(Th) という放射性元素を使って原子炉を作ることのメリットが述べられている。

 第一にトリウムは核爆発に利用できず、またこれを燃焼さした時にプルトニュームが発生しないことから核兵器に使用できないこと、第二にトリウム資源はウランの約4倍もあり、しかも既に希土類物質採取の際の残渣として、世界には数十万トンの在庫があるとのことである。

 トリウム原子炉は過去に米国で4年間も試験運転された実績もあったが、当時は核兵器材料の生産との関係でウラン炉が主流になり、今では全く使われていないという。

 昨今の地球温暖化対策の一環として、原子力発電所の建設が進められているが、北朝鮮やイランの動静を見るまでもなく、悪用すればこれが兵器に転用される危険をはらんでいる。従って、そのような危険の全くないトリウムを使った原子炉の建設を先生は強く奨めておられる。

 この問題は既に気候変動対策の専門家会議では取り上げられており、幾つかの国では開発に着手しているという。日本でもこのような開発にお金を使うべきではなかろうか。

コメント

_ 高原です。 ― 2009年01月17日 20時01分59秒

こんにちは。 初めてコメントさせていただきます。
詳しくもないのにコメントするのはどうかとも思いましたが・・・
確かトリウムの原子炉は「溶融塩型原子炉」で冷却に「金属ナトリウム」を使うことになります。 あの、ナトリウム漏れ事故を起こした高速増殖炉「もんじゅ」と同じ技術が必要だと思います。
なので、商用にはまだまだ技術的にクリアすべき点が多いものと・・・
それから・・・昔教授から聞いた授業では、確かトリウムの核分裂反応でウラン233が出来るのですが、これも核兵器に使おうと思えば使えたかと・・・
(違ってたらごめんなさい)

_ KAJI ― 2009年01月17日 21時04分52秒

高原さん、コメント有難うございました。

私自身も核燃料について本格的に勉強したわけではありませんので、トリウム発電についての利害得失をすべて把握して、書き込んだわけではありませんが、若い頃に原子核物理学を目指したものとして、現在のウランによる原子炉が常に核兵器との関連が疑われる状況に対して、この方式ならその心配がない点を強調したかったのです。(放射線は出しますが)

”天然Thは 232Thのみで、中性子を吸収させて、核分裂性233Uに変換して利用可能です。238Uより原子数で6だけ軽いため、Pu および 超ウラン元素を殆ど作りません。これは核廃棄物負担を軽減するだけでなく、Pu消滅処理に最適です。”という記述があります。

_ 窪田 敏之 ― 2010年01月20日 03時22分02秒

はじめまして。トリウムを調べている者です。熔融塩型原子炉は熱媒体に金属ナトリウムではなく、類似のアルカリ金属(リチウム)やアルカリ土類金属(ベリリウム)の塩を使用します。これは化学的に安定で燃えたりしませんので、安全性はかなり高くなります。

またウラン233が生成する時の副産物のタリウム232が崩壊時に非常に強いガンマ線を出すために、小型の装置にすることができず、事実上爆弾を製造することは不可能といわれています。

ご参考まで

_ KAJI ― 2010年01月20日 08時53分44秒

 窪田敏之さん、1年以上前の記事に書き込みいただきまして恐縮しています。

 どのようなお立場でトリウムを研究されているのか分かりませんが、トリウム原子発電所の実現性について、有力な傍証をいただいたものと理解しています。有難うございました。

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