北方四島の帰属2016年12月18日 19時10分08秒

 慌ただしくロシアのプーチン大統領が来日して、安倍首相郷里の山口で首脳会談があった。安倍首相としてはかねてからの構想通り4島の帰属を決めて日ソ平和条約に結び付けたい意向であったが、ロシア側のガードが固く、経済協力のような癖球に翻弄されて、4島の帰属を話し合う以前で停滞してしまった。

 この交渉を通じて、その成り行きを見ると、「北方4島は未来永劫帰ってこない」のではないかと思わざるを得ない。その理由の第一はロシアは第二次世界大戦の戦勝国として、この4島を日本から取り上げたものであり、(沖縄等のように)単に占領したものを後から返すといった代物ではないと認識されている点である。第二に戦後70年を超え、これら北方4島で生まれ育った人々も70歳を超えているということになる。つまり、大部分の島民はこの地で生まれ育ってきていて、昔日本の領土だったというような意識は全くないのではと思う。

 こんな状況の中で、もし日ソで合意して4島が(その一部でも)日本に返ってくるということになると、嘗て戦後この島々から追い出され他日本人の二の舞になってしまうのではないだろうか。そんな非人道的なことはできないと思うし、それが日本の役に立つとは思えない。

 排他的海域に関連して、漁業権の問題があるとしたら、それはそれ単独でロシアと交渉すればいいことであり、それこそ経済協力の一環として進めればいいのではと思案する。日本はこれら4島の帰属問題を離れて、新しい将来像を描くべきと思う。
 


閣僚の靖国神社参拝2016年12月30日 08時52分12秒

 過去にも何度かこのブログでA級戦犯の合祀されている靖国神社について書いてきたが、 稲田防衛大臣が靖国神社を参拝したとのことで再度取り上げたい。

 国を守るために命を賭して戦った数多くの将兵に感謝の気持ちを込めてお参りすることは何の問題もないし、当然のことである。問題はいわゆるA級戦犯と呼ばれる人たちが合祀されていることであり、いわばこれら沢山の将兵を戦場に送って戦死させた側の人間をあがめることに反対だと申し上げてきた。

 所が、彼等(戦争賛美者?)の考えは、A級戦犯が理不尽な戦勝国による裁判で有罪にされて、死刑にされたのは「国のために殉職したのだ」という理屈のようなのである。これには驚いた。確かにA級戦犯という呼び名で総括しているので、あたかも裁判の被告人というイメージであるが、その人達はそれ以前に、わが国民を戦争に駆り立て、膨大な犠牲と被害をもたらした張本人であるということであり、加害者だといえる。つまり、沢山の戦没者を出す原因になった人達であり、どうしてそんな人達に手を合わせなければならないのか。むしろ、国民として彼らを糾弾すべき立場であると思う。不思議なことである。

 我が国の官僚は今も昔も事態を動かしていながらその結果責任を取ろうとしない、或いは責任を取らせない風習が残っているのだろうか。