世界一貧しい大統領2015年03月05日 12時06分21秒

 世界一貧しい大統領と言われている人がいる。ウルグァイ東方共和国の大統領ホセ・ムヒカ(Jose Mujica)である。伝えられるところでは、給料の90%を慈善団体に寄付し、自分は残りの10%で生活していると言う。

 彼は在職中(もうすぐ任期が切れるようであるが)国民の経済的な不平等と闘い、所謂貧しい人達の底上げに努力したと言う。ピケティーに指摘されるまでもなく、世界は今や貧富の格差がますます拡大してきているが、彼は将にこの流れに逆らい、国民みんなの安定した生活を確保しようとしたものと思う。

 彼の言によると、自分は決して貧しいとは思っていないと述べた後で、「貧しい人達とは、優雅な暮らしを続けるためだけに働き、常により多くを望む人たちである。」と説いている。また彼は「金が好きだと言う人々は、政治的に危険な存在である」と喝破している。

 現在、我が国の国会では不透明な企業からの献金で沢山の議員がやり玉に挙がっている状況の中で、それらが法律に触れる触れないの問題ではなく、彼らの所業はホセ大統領に言わせれば、一番貧しい人達であり、情けない限りである。我国にもホセ大統領のような政治家が欲しいものである。


日本人は忘却癖があるのか2015年03月08日 20時19分09秒

 第二次世界大戦中にナチスドイツが600万人を超えるユダヤ人を虐殺したと言う。アウシュビッツに代表される収容所で、何の罪もないユダヤ人が毒ガスで殺されたと伝えられているが、どのような理由で、ナチスドイツはユダヤ人を目の敵にして、殺して行ったのだろうか。

 調べたところでは(本当かどうかの確信はないが)、約2000年前に、元々はユダヤ教信者であったイエスキリストが、その問題点を指摘し新しい教えを布教したことから、ユダヤ教信者に恨まれ、裁判にかけられて、ゴルゴだの丘で、十字架にかけられたと言われている。

 このキリストの教えが現在のキリスト教の元になっているが、そのキリスト教徒が2000年前、ユダヤ人に磔にあったことの報復として、あれだけ大々的な虐殺が行われた根拠だと言う。(自分としてはとても信じられないが)

 2000年前の史実も明確でない事象に対して、キリスト教徒がユダヤ人に対して強い敵意を抱き続けていることに恐怖を感じるとともに、その執念に対して畏敬の念を抱かざるを得ない。

 それに引き換え、70年前に経験した悲惨な戦争体験を日本国民は忘れようとしているように思う。戦勝国の中国ですら、この悲惨な戦争を反省し後世に残そうとしているのに、日本政府は何を考えているのだろうか。


ドイツと日本の原発行政の違い2015年03月10日 21時22分34秒

 ドイツのメルケル首相が何年振りかで日本にやって来た。主たる用件は今年ドイツで行われるG7への根回しだと言うことであるが、彼女が行った講演の内容に少なからず刺激を受けた。

 その第一は4年前、東日本大震災に伴う福島第一原発の大事故を受けて、ドイツでは「原発を廃止し、自然エネルギーに切り替える」方針を固め、着々と進行し、2022年に全原発を止めると言う。

 一方、日本ではこの同じ福島の事故を受けて尚、原発をベース電源と位置づけ、逐次再稼働を進めると言う。

 どうしてこのような大きな政策の違いだ出てきたのだろうか。ここからは自分の推測ではあるが、ドイツでは福島の事故を受けて、科学技術の進んでいる日本ですら、この様な大きな事故が起こるのだから、到底原発の事故を完全に避ける手段はないと判断し、脱原発に踏み切ったが、日本では正論として脱原発を進めようとしても、政界、官界、業界、学界の長年の連携の中で、利権のしがらみの中で、「止める」と言う選択ができないのではなかろうか。

 同じ福島の原発事故を起点として、ほとんど地震の危険のないドイツで「脱原発」の方針で進み、地震と火山の密度世界一の日本で「再稼働」を決めていることに、日本人として「気恥ずかしさ」を覚えるのは自分だけだろうか。


ドイツと日本の違い(2)敗戦処理2015年03月23日 14時18分39秒

 先日ドイツのメルケル首相が来日されたときの講演の内容から、日本との違いについて述べられた中で、一つは原発の扱いが180度違う話は既に書いた。

 もう一つ大きな違いは同じ第二次世界大戦の敗戦国として、ドイツはホロコーストと言う600万人以上のユダヤ人を虐殺したナチスという政権の戦争責任が明らかだったこともあるが、戦勝国による裁判だけではなしに、ドイツ国民としてこの戦争責任について、徹底した審議を行い、その責任を明確にすると同時に周辺諸国に対しても、十分な賠償をしてきたと言われている。

 それに対して、我国では戦勝国による裁判で、A級戦犯の内7名が死刑を受けたが、我国としてこの戦争に対する責任を追及するようなことは一切なかっただけでなく、当時「開戦の詔書」に署名していた岸信介がA級戦犯として裁かれながら、のちに総理大臣になって政権を動かしてきたことは、我国にとって大きな汚点であったと言わざるを得ない。

 我が国として、戦争責任についてもあいまいな形でやり過ごし、近隣諸国への賠償についても、必ずしも満足されるようなものではなかったことが、今日殊に中国と韓国との関係が悪化している大きな原因である。その原因になっている岸信介の孫が現在の首相を務めていることに絶望感を覚えるの自分だけだろうか。